ながと歯科・小児歯科医院
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予防歯科・小児矯正
予防歯科と言っても様々ですので、
 1.むし歯予防
 2.歯周病予防
 3.小児矯正(子どもの歯並び)
 4.保育歯科(正しい口腔機能の獲得)
についてお話しします。
これまで日本のむし歯予防は「早期発見・早期治療」と謳われてきました。
しかし、早期発見とはもうすでにむし歯になってしまったことを意味します。欧米から言わせるとそれは予防じゃない・・・
「初期むし歯」さえつくるべきではないと言われるのは当然ですよね。
では、【図1】や【図2】の「初期むし歯」はどうするのか?
この状態では、まだ削らないで様子をみます。
歯ブラシのほかに糸ようじ(デンタルフロス)などの補助具を使って磨いてもらい、今後の進行具合を観察します。
(決して自分で判断しないでください。)その理由はむし歯の進行スピードは人によって違うからです。

では、「人によって進行のスピードが違う」とはどういうことなのでしょうか?
これは『カリエスリスク』の差で決まります。
『カリエスリスク』とはむし歯の危険度を意味していて
『カリエスリスク』が高ければ早く進みやすく、低ければ進行が遅いということになります。人によって異なります。

『カリエスリスク』は
(1) むし歯菌の数
(2) 歯質の強さ
(3) 唾液の質
(4) 食環境
(5) フッ素の応用
などのトータルで決まるのですが、『カリエスリスク』の違いは下記の図のようになります。

時々、ウチのおじいちゃんは生涯むし歯が一本もなかったということを聞いたことがあるでしょう。
【図6】でいくと糸ようじ(デンタルフロス)を使わなかったおじいちゃん世代は隣接面(歯と歯が接する場所)などは
隠れて見えないむし歯があったのもかかわらず発見されることもなく、削る必要もないまま一生を終えたのです。
でもこのような人たちは稀です。たいていはどこかの年代でむし歯が発見されます。
『カリエスリスク』が高ければ小学生や中学生で発見されることになります。
では、『カリエスリスク』を低くするためには、ドコをドノように磨けばよいのでしょうか?
むし歯になりやすい場所は下記【図7】の三か所です。
歯の磨き方は下記のとおりです。3歳以降は永久歯になっても歯ブラシとフロスの併用は同じです。
また、歯科医院での予防は1歳半〜3歳から始めると良いと思います。
むし歯になり易い子はシーラントという溝を埋める処置もありますし、フッ素塗布もおすすめしています。
小さい子は、最初大変だと思いますが、最初が肝心です。
予防のコツを知るのと知らないのではずいぶん差になりますので、来院して説明を聞いていただきたいと思います。

歯周病は歯を支える組織の病気です。早い人で20代半ばよりその兆候が見られます。
最初、自覚症状はほとんどありません。
自覚症状として歯が浮いてきたような感じになったり、腫れたりしますがこの時にはもうすでにかなりの骨が溶けてしまっています。
進行するとぐらぐらになったり、??む力に対して支える能力がなくなるので??むのがつらくなったりします。
溶けてしまった骨は戻りませんので、できるだけ溶かさないようにすることが大切です。

歯を支える骨(歯槽骨)は、たとえ完璧に磨いたとしても加齢による生理的な骨吸収がおこりゆるやかに溶けていきます。
これは仕方のないことです。しかし、ほとんどの人はこの生理的骨吸収よりも早く骨を失ってしまい、
気づいたときには歯を抜かなければならなくなってしまっているのが現状です。
加齢による生理的な骨吸収だけならば、歯は失わずに済み十分に機能してくれます。
歯周予防のコツを知っていただき、60歳で抜けるものなら70歳まで保ち、
70歳で抜けるものなら80歳まで保つことで健康な食生活を送っていただきたいと思います。
若い頃より、歯周病を予防して一本も抜かずに一生健康であって欲しいと思います。

骨を部分的に失った方は、失って初めて歯の大切さを知り一生懸命磨きはじめます。
そして、私に若い人たちにそのことを伝えてほしいとおっしゃいます。
しかし、まだたくさん歯の残っていて異常を感じない若い人たちはまさか自分がそうんなふうになるとは思ってもいません。
実際、歯を失った方たちも若いころは同じように、歯を失うなど思ってもいなかったのです。

歯周病予防には歯周組織検査(もちろん健康保険でできます)が不可欠です。【図13】
歯周組織検査をしてドコが問題なのかを説明を受けて知っていただき、定期的に健診していただきたいと思います。
では、ドコをドノようにして磨けばよいのでしょうか?

これまで歯並びを治すには、永久歯がある程度生えそろってからというのがあたりまえでした。
しかし、矯正器具のようなワイヤーをつけなくても子ども自身の舌や唇の筋力を利用することで、
子どもの頃から使用できる様々な器具が考案されました。
健康保険適応ではなく自費になりますが、矯正の費用からみると安くて済みます。
その一部をご紹介しましょう。


【反対咬合(下顎前突・受け口)】
日本人の反対咬合の発現率は0.3〜0.4%といわれており、100人生まれれば3〜4人の確率で現れることになります。
西洋人より東洋人の方がやや多いと言われています。
3歳になって反対咬合が認められた場合、自然治癒する確率は低くそのまま放置するとほとんど永久歯も反対咬合になります。
反対咬合の治療は、近年3歳を過ぎたころから使えるマウスピース型の小児用矯正装置が考案され、
通常の矯正に比較してとても安く、簡単に治療できるようになりました。
また、出っ歯(上顎前突)やガタガタの前歯(叢生)なども
小学生低学年から使用するマウスピース型の装置(T4K・T4A・i-2)がオーストラリアの先生により考案され、
この装置でトレーニングすることで口の周りの筋肉や舌の位置を正しく保持させ、
自分の口や舌の筋肉の力を利用して歯並びを改善される時代になりました。

【上顎前突(出っ歯)】

【叢生(乱食い歯)】

口腔機能は歯が生えてくる前から獲得し始めます。
哺乳の仕方、離乳食の与え方、赤ちゃんの寝かせ方によって差が出てくるようです。
例えば、離乳食の与え方ひとつで口周囲筋の発達の差として現れます。
最近では「ポカン口」などが話題となっていますが、これもそのひとつと考えています。
乳幼児期は、口を健全に育成し正しい口腔機能を獲得するためには大変重要な時期でもあるのです。


・『ポカン口・口呼吸』について
最近、子どもたちの口元に異常が多くみられるように思います。
上唇が富士山型でしまりがなく、いつも口が開いていて前歯が見えている子どもです。
世間では『ポカン口』と言われているようですね。【図20】
この写真のようなお子さんをまわりでみかけませんか?
ポカン口は上唇か富士山型になっていることが大きな特徴ですが、上唇は乾燥して白っぽい灰色をしてあり、
下唇は唾液にさらされているため湿った状態で綺麗な赤い唇をしています。
また、寝ている時は口が開いているという特徴もあります。
ではどんな口が正常なのかというと・・・リラックスしている時に口は閉じており、
舌は舌の上面(背面)が上顎の天井(口蓋といいます)にくっついた状態が正常です。
また、唇は上唇・下唇ともに湿っていて寝ている時は口を閉じて鼻で呼吸しています。

どうでしょう?みなさんのお子さんにはこの状態にあるでしょうか?
なぜポカン口になるのか?それは上唇を閉める筋力(口輪筋といいます)が弱いからだと考えられています。
さてこのポカン口、乳歯の時期には歯並びに大きな差はありませんが、
永久歯が生えてくると出っ歯(上顎前突)になるケースが多くみられます。
なぜかというと歯列は舌の圧力と唇の圧力のつり合ったところに並ぼうとするので、
上唇の筋力(口輪筋)が弱いと上の前歯が出っ歯になってしまうのです。【図21】
さらにポカン口の子の中には(すべてではありませんが)いつも『口呼吸』をしている子がおり、さまざまな問題を持っています。
日本免疫病治療研究会会長・西原研究所所長/西原克成先生によれば
口呼吸を持つ子には【図22】のような症状が多いとおっしゃっています。
当院でも口呼吸の子どもがたくさん来ますが、西原先生のご指摘どおりです。
鼻で呼吸しなければいけないのにいつも口で呼吸している場合を『習慣性口呼吸』といいます。
『鼻呼吸』は鼻毛や粘膜で空気中の小さなチリが体の中に入るのを防いでくれますが、
口呼吸では小さなチリが直接体に入ってしまいさまざまな問題を起こすのです。
ヒトは進化の過程で言葉を獲得しましたが、言葉をしゃべる合間に口呼吸する必要が出てきました。
言葉をしゃべる時と激しい運動をするときには補助的に口呼吸をするようになったのです。
それ以外は鼻呼吸しているはずなのです。

哺乳類の中で口呼吸をするのは人間だけなのですが、
通常は鼻呼吸しているはずなのに習慣的に口呼吸していると防御機能がうまく働かずに【図22】のような症状が出てくるというわけです。
人間だけが口呼吸しているというと、犬もはぁ〜はぁ〜ベロを出して口で呼吸しているじゃないかと言われそうですが、
犬がベロを出しているのはベロを出して体温を冷やしているのだそうです。
では、その『ポカン口・口呼吸』の原因ですが、はっきりしていませんが次のような問題があると考えられます。

正しい離乳食の与え方は、お子さんの下唇に食物を乗せたスプーンの先端を
ちょんちょんと触れると上唇が下りてきて食べ物をとらえようとしますので、
上下唇が「む〜っ」と閉じて捕食するのを待ってからスプーンを水平に引きます【図23】。

この上下唇が閉じて捕食することを『口唇閉鎖の獲得』といいますが、口周囲の筋群の昨日を育てる第一のステップです。
しかし、スプーンに乗せた食物を上顎の前歯や歯肉のドテに引っ掛けて食べさせているとお子さんは早く食べてくれますが、
上唇は使わなくても済みますので口唇閉鎖の獲得ができず口周囲の機能が育ちません。
食事時間はかかりますが、まずはこの口唇閉鎖を確実に獲得することが大切です。
また、食物を乗せたスプーンの先端を下唇に触れても上唇が下りてこない場合は、上唇が下りてくるようにお母さんの手で補助してあげてください。

本来、添い乳は夜中や母親の体調不良時に行われる一時的な与え方です。
しかし、携帯やスマートフォンをしながら常に添い乳をしているお母さんが多くみられるようになりました。
添い乳はお母さんには楽な姿勢ですが、お子さんは頭が横になってしまい、頭の重みで顎の幅が狭くなってしまいます。
顎の幅が狭くなると舌が収まりきれなくなり、舌位置が低くなり口が開きやすくなってしまいますので添い乳はあまり勧められません。
また、うつ伏せ寝や横寝の習慣も同様と考えられます。
正しい母乳の与え方は、お子さんの舌は重力に対して逆らうように上に挙がりますので、
舌の筋肉がトレーニングされ舌位置が低くなりにくいと考えられます。

原因はa.b.だけではないかもしれません。今後の研究を待ちたいところです。
『ポカン口・口呼吸』は昔にはあまり見られませんでした。また、日本ばかりに多く海外では少ないようです。 
海外ではおしゃぶりの使用頻度が日本より多いことや日本語と外国語の発音なども
関係しているのではないかと言われていますが、はっきりとした根拠はまだありません。
しかし、今回お話しした離乳食の与え方や添い乳については改めて考える必要があるのではないでしょうか。
少し難しいお話になってしまいましたが、育児には時間と労力がかかります。大切なお子さんのために少しでも参考になればと思います。

また、平成25年6月に石川県保険医協会より
『お口の機能を育てましょう〜歯科医師からのメッセージ〜』(200円)という冊子が出版されました。
出産されたお母さんたちには参考になると思いますので活用されるとよいでしょう。
(連絡先/TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156 石川県保険医協会・冊子『お口の機能を育てましょう』)

小・中学校になってから『習慣性口呼吸』を治すことはなかなか難しいと考えております。
『口呼吸』は「治す」ことよりも「つくらない」ことのほうが大切なのだと臨床家として感じます。
保育の大切さを知っていただき、参考にしていただけたらと思います。
『口呼吸』は口腔筋機能トレーナー【図17】でも治療可能ですが、
少なくとも低学年(小学校1、2年生)までにご相談ください。治療例【図24】

石川県金沢市のながと歯科・小児歯科医院では、充填物の無い歯並びの良い歯列をつくり、
おじいちゃん・おばあちゃんになった時に入れ歯もインプラントも必要のない人たちを多くしたいと考えています。
生涯に渡って、ご自分の健康な歯をできるだけ削らずに維持していけるように私たちがお手伝いをすることが当院の役割だと思っております。


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